映画虫カルチャーレビュー

『モスキート』

■原題:MOSQUITO
■制作:1995年 アメリカ
■監督:ゲリー・ジョーンズ
■虫:蚊

吸血モスキート!! って当たり前なんですが
便利アイテム・放射能で、大事件に

アメリカの国立公園に宇宙人が不時着。その血を吸った蚊が巨大化してしまいましたとさという、ファンタスティックな巨大昆虫映画だ。

放射能的なもので生物が巨大化するというプロットはもういい加減にしていただきたく……な~んて文句は全く湧き上がってこないのが、本作の素晴らしいところ。

サマーキャンプでテントをギシギシさせている若者は、巨大な口吻で尻からじゅるじゅる血を吸われ(嬉しい予定調和)、血を吸われた人間は干からびるという設定のもと、ギャグテイスト溢れるゾンビ面に。

プレハブのトイレに入っていたおっさんは、巨大蚊の登場に尻丸出しで逃げ出し(また尻です!)、ズボンずり落ち状態でぶんぶんふわふわ巨大蚊に追いかけられる。

まーあ、どれもこれもいっそのことスローモーションで編集していただきたかったくらいの見事なまでのバカバカしさが最高で、もはや昆虫コメディ映画だ。全く怖くない、幸せな笑いに包まれた巨大昆虫映画といえるだろう。

巨大蚊の造形は少々ハリボテ感が否めないものの、透明な巨大ストローのような口吻の中に真っ赤な血が満たされていく様子がアップになるシーンは、大変楽しい。真っ赤なゼリーをクルクルストローで吸い出す蚊パッケージの駄菓子があればいいのになあ。

多くの人が語っているのであえて言わなくてもいいのだが、それでもスルーできないのが『悪魔のいけにえ』のレザー・フェイス役・ガンナーハンセンが出演していること。レザーフェイスのアイコン的武器を手に、「これを使うのは20年ぶりだ・・・」。ぎゅいーん。ホラーファンならこのシーンを見るたびに、何度でもクスリとできるという嬉しいおまけもついてきます。

東京国際ファンタスティック映画祭’94出展作品

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この記事を書いた人
ムシモアゼルギリコ

フリーライター歴20年(※虫関連の記事以外、基本は別名義)。
2008年頃から昆虫料理研究会(内山昭一主催)に参加し、“虫食いライター”としての活動を始める。
TV、ラジオ、雑誌、トークライブ等で昆虫食の魅力を広めているほか、映画やバラエティ番組などに登場する“虫食いシーン”の、調理サポート等も行う。

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