
イラスト 児嶋都
NIFTYデイリーポータルZによるレポート
詳しく楽しいイベント参加報告です。ぜひこちらもご覧ください。
午後2時、「よるのひるね」に到着、買い物など準備に入る。目の前が八百屋なので助かる。たいがいの野菜はそこで間に合った。
今日は何人来てくれるのだろうか。予約不要なのでまったく見当がつかない。20人は理想だがまずないだろうし、多くて10人前後とふんだ。ブログにのせただけでそれほど大宣伝はしていないのだから。
3時、入り口に列が並び、ぞくぞく参加者が入店する。ムシが間に合うだろうか、という不安がよぎる。最終的には理想の20人をこえた。圧倒的に若い人たちである。女性も目立つ。ブログ世代である。
メニューは以下の通り。
- スズメバチの串焼き
- 酢蜂—酢豚風スズメバチの炒め物
- ツムギアリのコンソメスープ
- ムシミックスピザ
- ムシチョコフォンデュ
使用した昆虫食材は以下の通り。
- オオスズメバチ幼虫、さなぎ
- ツムギアリ
- ハウスクリケット
- スーパーワーム
- カイコさなぎ
- タガメ
- タガメペースト
- マダガスカルゴキブリ幼虫
- セミ幼虫
- ショウリョウバッタ
- ツチイナゴ
- サクサンさなぎ
- クワカミキリ
- キボシカミキリ
【スズメバチの串焼き】

スズメバチを串にさしてタレをつけながら焼く
【酢蜂—酢豚風スズメバチの炒め物】

野菜を炒めたなかへスズメバチを投入
【ツムギアリのコンソメスープ】

切った野菜にツムギアリを加えたところ
【ムシミックスピザ】

セミ、ゴキブリなどがのったピザ
【ムシチョコフォンデュ】

カイコさなぎと干しぶどうをチョココーティング
まずメニューにそってムシの説明をする。好奇の目が注がれる。次に研究会メンバーを中心に調理分担を決め、調理に入る。お店は20人も入ると超満員で立錐の余地もない。こんな状態で皆に満足してもらえる料理が出来るのだろうか。スズメバチを串にさす人、野菜を刻む人、店内騒然である。スズメバチ料理とアリのスープができたところで前半の試食をしてもらうことにした。まずは好評。ムシという先入観をのぞけば(のぞけない人も若干いたが)、スズメバチはやはり大多数が食べられる。アリも同様ではないか。
引き続きムシピザにはいる。ムシはすべて素揚げする。生きたコオロギやワームが沸き立つ油に投入され、会場は一気に盛り上がる。ムシを目の前で揚げる光景を初めて目にしたであろう彼らは、沸き立つ油の泡のなかできつね色に変わるムシたちを、これから自分が食べるものと認識しようと努めている。我々は夜陰に紛れてムシを食おうとしている原始哺乳類に立ち返りつつあるようだ。一つ鍋のムシを食うという一体感が会場全体を包むのを誰もが感じている。洞窟の連帯感とも換言できるこの場の空気は、なんと緊張から解放へのエクスタシーにいざなうことか。定例試食会にない新鮮さだ。チョコフォンデュ用に揚げたスーパーワームに次々手が伸びて、とうとうなくなってしまった。カイコさなぎは味に癖がある。これを素揚げし、レーズンとまぜて串にさし、チョコフォンデュにする。甘みが癖を緩和して食べやすくなる。これもなかなか好評。
予定の3時間があっという間にすぎた。虫食い談義はつきないがお開きの時間となる。締めくくりの挨拶に拍手。皆が一定の満足感に満たされているのを感じる。よかった。
参加された皆さん、お疲れさまでした。こうした貴重な経験の場を提供いただいた「よるのひるね」の門田さんとそのパートナーの方に感謝。ステキなイラストを描いていただいた児嶋都さんに感謝。また会いましょう。