■著者:龍華哲、ちとせ万理ほか
■発行:2010年
■発売:文苑堂
■虫:ゴキブリ、カブトムシ、蝶、蛾、トンボ、バッタその他
禁断? 異端? つっこむだけ無駄!
異種でキュンキュン萌えあう、不思議BLアンソロジー
BL脳の方々には、何をどうやっても“男同士でウ・フ・フ♪”という展開に見えてしまうのだろうか?
まさかゴキブリのヌラヌラ感にエロスが見出される日が来るとは…ねえ。
あ、BLという言葉が当たり前のように思っていてはいけないんでした。BLとは「Boys Love(ボーイズラブ)」の略です。ボーイズラブがお分かりにならない方は、グーグル先生に聞いてみてください。
「ゴキブリ君」は、擬人化されたキュートなゴキブリ少年がヒロイン的立ち位置だ。“ショタ系”の(これまた意味の分からない人はグーグル先生に…)少年・ゴキブリくんに、密かに萌えを感じているのは、学ラン姿の「俺様男」カブトムシ。
どんくさい(実際は素早いんですけどねえ…)けれどどこか憎めない、そんでもって可愛いゴキブリ君に、ついついちょっかいを出したくなっちゃう毎日なのだ。
人気者のカブトムシさんが、どうして僕なんかにちょっかいを出すの?
僕…汚い害虫なのに…。
ゴキブリに物語を見出すとき、定番化しているのは「ゴキブリの嫌われ者っぷり」にスポットを当てることだ。昨日紹介した『天然戦士G』も同様だろう。しかし、この展開に、そばかす三つ編みのメガネっ子が学園の人気者に好かれてしまい、「どうして私なんかに…?」とうじうじする70年代少女マンガの定石を感じてしまうのは、わたくしの年齢が原因だろうか…。
この『ゴキブリくん』においては、実際の虫の生態と比べて「ありえねえ!」とつっこむのは時間の無駄というもの。
昆虫たちの擬人化描写もなかなか大胆で、触角がついているという他は、ほとんど人間の男子。「触角がついていて嫌われ者(という設定)だから、ゴキブリなの!」という事らしい。ここまで開き直ったら、何でも擬人化できるよなあ。
昆虫の生態を、エロスや人情と丁寧にからめたBLマンガは『蜜の王国』があるが、「昆虫擬人化+BL」というある意味突き抜けたバカさ加減は、これくらいゆるい設定のほうがしっくりくるのかもしれない。…って、こねえよ!
本書の表紙ては、涙目&上目使いのゴキブリ君が「こんな…ボクでも…愛してくれますか?」と読者に訴えかけている。
大丈夫。擬人化しなくても、ゴキブリを一度飼育箱に放り込んでみれば、十分愛せますから。
毎日丁寧に触角をグルーミングし、バナナをあげればむしゃぶりつき、どっちが心地よい場所をキープするかオス同士でシャーシャー喧嘩し、メスに一生懸命お尻を振ってセックスアピールするゴキブリたち。そのままの姿でも、十分可愛らしいですよ?
※上記の行動は、マダガスカルゴキブリ@管理人家の場合です。
そんなんじゃ物足りない! ゴキブリにもっと萌えを! という方は、どうぞ『ごきぶりくん』をお召しあがりください。昆虫料理的な意味ではありません。
「ごきぶりくん」公式特設ページ
http://www.r45do.com/html/gokiburi/index.html