■著者:尾玉なみえ
■発行:2011年
■発売:集英社
■虫:カブトムシ、蝶、バッタ、カマキリ、ゴキブリ他
「交尾」と「捕食」のめくるめく世界を
お下劣フィルターでとことん笑う
虫の行動原理は「交尾」他ならないハズ。
昆虫だもの。短期間でどんどん増やし、数で勝負する生き物だもの。
だから主人公のカブトムシ・ダイゴローは「モテモテになりたい=交尾しまくりたい」と1日中ムラムラ・フウフウしている。
まあ正しい。正しいのだが、問題は性格がとことん歪んでいることだ。
ヘタレなのに性欲は人(虫?)一倍、しかも弱いものにはとことん上から目線で攻撃。
そんなわけで意中のメス蝶モンローちゃんに「キモイんですけど!」とバッサリ切られ、涙する毎日なのであった。
さらにダイゴローだけでなく、他の虫たちも負けずに歪んでいる。
一見可愛い蝶のモンローちゃんは無邪気に「卵管みせちゃおっかな」と修行中のカゲロウをからかい、ゲブラ虫(アブラムシのような架空虫)のツトムはダイゴローに無理矢理お尻から「お汁」(蜜のこと)を吸いだされM的喜びに震えてしまう。
一匹一匹のキャラが立っているので、もっと新しいキャラが見たくなり、早く2巻を・・・!と叫びたくなってくるじゃないか。
そんな風に次から次へとバカバカしい限りの出来事が繰り広げられるのだが、ときどき不意打ちのようにいい事を言うのがちょっとずるい。
カマキリにムシャブリつかれた(捕食的に)ダイゴローが言う。
「食べたいってことは好きってことでしょがー!」
頭がお花畑状態のダイゴローが言うことを真に受けるのもどうかと思うが、ちょっとグッとくる(そうか?)。
そしてヤリたいだけのダイゴロー理論に「そうカマ?」と洗脳されてしまったカマ子は愛情表現として食べ物を貢ぐようになる。
「美味しい所を捕ってきたカマ~」
手しているのは束になったバッタの脚。
おお、カマ子もいい事言った!
実際、バッタの脚は大変美味い。力強く動く部位は、筋肉が発達していてうま味が強いもの。樹液が主食のダイゴローは涙目だが。
「虫が怖い!」と言う人は、とりあえずコレを読んどけばいいんじゃないでしょうか。
どこまでも阿呆な虫たちに、きっと恐怖心が薄れることでしょう。
その前に、虫が怖い人はこのサイトを開かないかもしれないけど。
購入したら、カバーを外すとよい事があります。