2013年に上梓した『むしくいノート』からだいたい7年が経ち、昆虫食を取り巻く環境が予想以上に変わりました。今このタイミングで同じ構成の本を作ったら、全然内容が変わるんだろうな~とぼんやり思っていたタイミングで、プランリンクさんという書籍編集会社からお声をかけていただき、辰巳出版より昆虫食MOOK本を発売する運びとなりました。そんなわけで構成は前作と似ているポイントも多々ありますが、内容は結構(かなり?)更新されているはずです。
タイトルは『スーパーフード! 昆虫食最強ナビ』という何とも強気なもの……にも関わらず、実は誌面では「虫がいかにスーパーフードか」ということは全く語っておりません。むしろ「普通の食材と変わらない」点を繰り返し強調しています。確かに宇宙開発において「スペースフード」と着目されたことや、丸ごと食べるので不溶性食物繊維をタンパク質と一緒にとれるなど、食用昆虫には優れたポイントがたくさんあります。そういったキャッチーな部分は取り上げつつも、あくまで「虫を初めて食べる人が知っておくと便利な基本情報」に絞りました。だから、ぶっちゃけてしまうと「虫の何がどう〈スーパー〉なのかは、読んだ方の判断にゆだねます!」という、都市伝説級の無責任さです(信じるも信じないもあなた次第ってヤツみたいなので)。ここで改めてお詫びを申し上げます。
自分は基本、専門家でもなんでもない「マイペースに食べる程度のいち愛好家」なので、本書に掲載する情報のファクトチェックをはじめ、細かい部分までを蟲喰ロトワ氏こと佐伯真二郎氏(NPO法人食用昆虫科学研究会理事長)にお願いしました。その佐伯氏もこの本とほぼ数日しか違わないタイミングで、初の著書『おいしい昆虫記』(ナツメ社)を上梓。そんな奇縁もちょっと嬉しかったりしています。一方、発売されるタイミングは同じなのに喰ロトワ氏がほぼ脱稿したタイミングでこの本の制作が始まったという事実は今、脳内から消去したかったりします(笑)。虫本を作っていて虫とりに行かれない、2020年の不毛な夏でした。
しかしそんなスケジュールでも猛ダッシュでなんとか形にすることができたのは200%、佐伯氏をはじめとする虫食い仲間たちのお力添えです(勝手に仲間にしないでくださいという方もいるかもしれませんけど)。今回はスケジュールの都合上で取材や原稿の部分もかなりの「分業」でお願いしたので、著者が形式上わたくしムシモアゼルギリコになっていますが、むしろ「最強ナビを作る会」という名称が正しいかもしれません。制作中、自分の中では「最強ナビとは情報が最強なんじゃなくって、関わっている協力者が最強なんじゃあ……」なんて思えてきてしまったくらいです。いえいえ内容もそれなりに、初心者向けのガイドブックとして最強であると信じたいですけど。
そんな背景のMOOK本となりますが、お手にとってくださった皆様に楽しんでいただければ何よりです。どうぞよろしくお願いします。