カブトムシは、本当にマズい…?
これまで過去2回、絶望的にマズいマズいと酷評のカブトムシ幼虫を、おいしく食べようと色々やってみて、徐々にカブトムシ攻略への道が開けてきたと、ようやくプラスの実感が湧くようになってきた。
見えてきた美味なるカブトロード
前回、発酵のパワー(ヨーグルト、糠、塩麹)を駆使して、
カブトムシの土臭さを、ほぼ完全に封じ込めて美味しく食べることはできた。
発酵させることで文句なく、クセのないおいしいカブトムシを味わうことはできた。
けれども、果たしてそれはカブトムシ素材本来の味、すなわち、ありのままの強烈な腐った土の味を活かした。と言い切れるんだろうか。
否…ただひたすらに、私はカブトムシの個性を強引にねじ伏せて、無難に美味しくしただけなんじゃ…
洗練されて美味しくなった一方で、殺してしまったあの無骨なまでの土の香りを心のどこかで渇望しているんだ。
いわば、あの癖がカブトムシの味の代名詞的存在。
はッ…! もともと
食べ物にはクセがあっていいんじゃないか。
「水清ければ魚棲まず」じゃないけれども、食に関してもかえってクセがあるほうが旨さや嗜好性につながる場合もあるんじゃあないかしら。
ブルーチーズ、納豆、パクチー、ドリアンとか、世界を見渡せばクセを活かした食材や料理ってのは結構あるものネ。
不快と感じているあの強烈なる土臭さも、
実は重要なアクセントなのでは?と、ふと思った。
だから、1度積み上げた小細工をぶっ壊して、原点に還ってみよう。
発酵の力をあえて封印して、ありのままの土臭さを活かしてみよう。持ち味をイカせ。
…とは言っても、ぶっちゃけるとフンのシャリっとした食感はたまらなく不快なので、フン抜きはしたいところだなぁ…
結局はおいしく食べたいという、自分の本心が内側から聞こえて来る。
でもフン抜きして、スカスカになってしまった皮だけのカブト幼虫は、なんとも食べ応えに欠けてしまう。
モヤモヤするね。うぅぬ…おいしい中身の肉がほしい…。
そうだ、スカスカなら、中に何か詰めりゃいい。
ウインナーや餃子のように中に肉を詰めよう。という発想のもと、
このブログを読んで下さったみなさんから、たくさんの唸るほど面白いカブトムシ幼虫のレシピのアイデアを寄せていただいた。ありがとうございます。
よおし、なんとなく餃子が食べたかったし、
今回はカブトムシ餃子を作ろうかな。
カブトムシ餃子を作ろう!
まずは、茹でたカブト幼虫を糞抜きします。
今回は、前蛹になりかけの個体なのか、糞のつまった内臓がきれいにとれた。
スカスカになったカブトムシ幼虫の中に、
今回はあえて虫肉にこだわらない普通の餃子の餡(豚肉、キャベツ、ニンニク)を奥の方まで、パンパンに詰め込んでいくのです。
パンパンに膨らんだ餃子カブト。
これを、水を入れたフライパンに入れて、フタをして蒸し焼きに。
水気が飛んで、パチパチ音がしてきたら、フタを開けましょう。
残った水分も飛ばし切ったら、お次はゴマ油をタラ〜っと。
いい香りがしてきます。じっくり焼きましょう。
両面、ノーマルな餃子同様に、茶色くこんがりしてきたら、できあがり。
餃子の餡がカブトのお尻から漏れ出すアクシデントもなく、無事に完成した。
手羽餃子っていう料理があるけれど、それに近い発想ですな。
断面が気になるね。切ってみよう。
おぉ、こう切ってみると、サイズ的にも餃子に近いような。
ポン酢につけて食べてみよう。いただきます。
おぉ…餃子の味だ。おいしい。フツーにできたての餃子を食べている感覚に近い。
けっしてカブトの土風味が邪魔することなく、まず餃子の餡の強い旨味がやってくる。問題のカブト味は、その後何度か外側の皮を噛みしめたのちに訪れた。
…!不快じゃない。ごま油の香りと、カブトのふんわり土の風味がほどよく調和し、むしろアクセントになっているのだ。…うまいぞ!
美味すぎてあっと言う間にペロッと平らげてしまった。
ごちそうさまでした。
これはまぎれもなく、
今まで食べたカブトムシ料理の中で
最高峰に君臨する美味しさだった。
料理して食べることの偉大さを、改めて感じる機会だったかも知れない。
一般の小麦粉由来の餃子の皮よりも、糖質がはるかに低いはずだから、カブト餃子は、炭水化物抜きダイエットなんかにも向くんだと思う。
餡の豚肉をミールワーム肉なんかに変えたら、さらに昆虫食らしい?