■著者:たかぎなおこ
■発行:2011年
■発売:メディアファクトリー
■虫:イナゴ、蜂の子、ザザムシ
ヒラメがシャッキリポンと、舌の上で踊るわ!
お~いし~っ 最近のコンビニおにぎりってバカにできない
そこにママンの魂のこもった梅干しが加われば ズボラにして無敵の美味しさ!!
マズくない! けっしてマズくないぞ!!
そんな読むと1度はマネしたくなる”リアクション芸”が際立つグルメ漫画とは一線を画し、淡々とグルメを紹介する素朴さが、コミックエッセイの味わいでもある。
『愛しのローカルごはん旅 もう一杯!』も同様で、作者がさまざまな土地へ訪れ、“ご当地グルメ”を片っ端から食べてレポートするシンプルな構成。
さまざまなローカルごはんの味を伝える台詞も「めちゃくちゃ好きな味」「きゅんとする味」「あっさりとやさしいお味」など、正直どんな味かよく分からないものも多い。分からない…のだが、なぜかこの人の食レポを読むと、どれもこれも妙~に食べたくなる。
作者・たかぎなおこさんは表紙からも伝わるように、”素朴なタッチが売り”だと思っていたのだが…だが…“食べ物描写”においては、意外な破壊力を発揮!
なんだこれ、うまそう…! どれもこれも今すぐ食いてえ…!!
特に、宮崎・鹿児島編の「しろくま」と、高知編の「カツオの塩たたき」には、完全ノックアウト。
なんでしょうね、お腹が急に空っぽになるような、この絵。
この画力で、ぜひ昆虫料理も描いていただきたい!!
なんて思っていたら、ちゃ~んと登場していたんですよ。
いろいろな土地を訪れる全7編ある中の「長野編」では、居酒屋でオーダーする“珍味三点盛り”に、イナゴの佃煮、蜂の子が出てくる。
そしてそれらを必死の形相で食べていたにも関わらず、一度食べて耐性がついたのか宿泊先のホテルでは、ビールのつまみにざざむしの缶詰をチョイス。
“ガシュガシュ”という謎の擬音+虫食い時の辛そう~な表情のコンボなのだが、決して不味そうに見えないいい食事風景である。
「また食べたいという感じではない」とのことだが、ま、そういわず”もう一杯”
書下ろしとなる“台湾編”では臭豆腐(発酵させた汁に豆腐を漬け込む加工品)にもチャレンジしている。
あの”臭ウマ食品”に手を出すとは、たかぎさん、素朴なキャラに見せかけてかなりのツワモノ…!?
さらなる続編(あるのかな?)で、ハードルの高い食材に挑戦される姿を楽しみに待ってます。
なんでしたら我が家の養殖ゴキをご利用ください。