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第11皿 国民的マンガの虫食い

2014.05.19 | Posted by giriko | Filed Under 虫食エッセイ 

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カブトムシの幼虫は難しい。何が難しいって育て方ではなくもちろん食べ方が、だ。
腐葉土を食べて育つため、とにかく肉が臭いのだ。

しかし臭みのある食材なんてごまんとあるし、味付け次第で何とかなるのでは? と
先日コーカサスオオカブトの幼虫を手に入れて調理してみたが・・・
味も見た目も手触りももニオイも気分的にも200%敗北。

毒はないが、これほどまでに「オレを食うな!」と主張している虫がいるだろうか。
そして美味しく食べられなかったときの罪悪感がこれほどまでとは。

そういえば友人のN氏は過去に、対戦ゲームの罰ゲームとして「カブトムシの幼虫にストローを刺して吸う」という遊びを楽しんでいた。

心の底から「馬鹿だなあ」と思っていたのだが、

あまりにも強烈なカブトムシ幼虫の“泥袋”っぷりに(糞抜きどころではなく、体内がほぼ泥なのだ)、アレを食べたのか・・・と、

ほんの少しだが尊敬の念すら抱いてしまった。

さて、前置きが長くなってしまったのだが、現在発売中のカルチャーマガジン『TRASH-UP!!』VOL.18で連載させていただいているコラム「あのマンガ(の蟲)メシが食べたい!」第7回では、そんな“カブトムシ食い”をご紹介させていただいた。

以下コラムの一部を抜粋。

口にするものが物語の重要な小道具となるのはもはやマンガの定石で、
「この人何だかおかしいかも?」という分かりやすい異変フラグを立てるため“異色”が使われるのもお約束だ。
と、くればもちろん怪奇マンガで「虫食い」をそこここで見つけられるのはもちろんである。

その一部を紹介すると、自分の娘にただならぬものを感じていた母親が、虫を食って這いずり回る姿に「悪魔の子!」と確信を持ったり(『ハライソ 笑う吸血鬼2』丸尾末広)、ある日母親が食卓でゴキブリをシャリシャリシャリと食べ出し、実は祟られてましたとさ(ちなみに“ミミズサンドイッチ”も素敵。『長く悪い夢』坂東江里子)というオチだったり。

そんな“虫食い異変フラグ”には、ゴキブリやイモムシなど特に嫌悪感を強く持たれる虫がチョイスされがちだが、
超人気国民マンガでは、他ではあまり見かけない「虫食い」が登場している。

「UREEYYY(ウリリイイイイイイ)」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーーーッ」
「ウヒヒヒヒ 絶望ォーーーーに身をよじれィ 虫けらどもォオオーーッ!!」

超絶ハイテンションな台詞回しで何のマンガかが瞬時に分かる、『ジョジョの奇妙な冒険』である。

超有名作品である『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦)を改めて説明するのは少々憚れるが、
一応ざっくりご説明させていただくと、英国貴族のジョナサン・オースターとその子孫たちの戦いと冒険の物語である。(中略)
そして第三部の主人公・空条承太郎の仲間に、花京院というキザな男が登場する
(高校生とは思えないジェントルな振る舞いと言葉づかいがシュールでとてもいい)。

ところが宿敵・DIOを追いかける旅の途中、そんなジェントルマン花京院の様子が、突然下種モードにシフトチェンジ。
どうしたんだ!? と、周りもうすうす感じ始める中、お約束の決定打は?
はい、もちろん虫食いの登場です。

花京院は樹の蜜にたかったカブトムシをジーッと見つめている。

取り巻きの女子たちが、“花京院さん、どうしたのかしら”と目をやれば……ボリボリボリボリ! 何かをかみ砕いている。
さっきのココナッツジュース?

本人も「ココナッツだよ」と言っているのだが、口の端からはみ出しているのは……ギザギザの黒い脚じゃないですあぁ。

食べましたね。間違いなくカブトムシを食べましたね。それも丸ごと。

ジョジョの奇妙な冒険は、普通の人間なら120回は軽く死んでいるであろう死闘が繰り返されるだけあり、
登場人物たちは鉄のように頑丈にできている。

でも、カブトムシの“丸かじり”はハードすぎやしないか。

※このテキストは『TRASH-UP!!』 Vol.18で発表したものです。続きは本誌でお楽しみください。「結局カブトムシはどうやって食べるのがいいのか?」という結論も一応出ております。