『蝶の墓』楳図かずお

漫画

■著書:楳図かずお

■発行:1996年

■発売:朝日ソノラマ(『楳図かずお こわい本< 虫 >』に収録)

■虫:蝶

お母様は蝶よ!! 蝶なのよ!

ぎゃあ!! 怖い! ・・・・って、え? 蝶?  蝶なんですか。

”ママが蛇になる”という話は楳図作品の中でもひときわ有名だが、こちらは怖いのかどうかいまいち分かりにくい蝶。

主人公は、子供のころから蝶に異様な恐怖を感じる美少女なのだが、ここでアラクノフォビア(クモ恐怖症)のように単なる恐怖症で済まさないところが、物語にぐっと深みを持たせている。

少女が誕生する前から始まっていた事件。少女はなぜ蝶に恐怖を感じるようになったのか? そして少女が母になったとき、蝶への恐怖がどう変わるのか。シナリオ性が非常に高く、あっという間に物語に引き込まれ、掲載されていたのは1969年『ティーンルック』とのことだが、今読んでも全く古さを感じさせないのがすごい。

弁当に蝶が! ベッドに巨大蝶! 雪降る日にいるハズもない蝶の幻覚!

肉感的な美少女が、ヒラヒラした蝶にまとわりつかれて震える様に、妙なエロスを感じてしまう。

さらに「あの人は美しい蝶だったんです・・・」と静かに閉じられる物語ラストが、映画的な余韻を残す。

それにしても楳図マンガのヒロインは、なんだってこんなに知的で美しく心優しいんでしょう。

「ほほほ! 私は蝶よ!」と怖がらせたくなる気持ち、分からなくもない。

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