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『黒薔薇アリス』

2011.10.03 | Posted by giriko | Filed Under 漫画, 虫カルチャーレビュー 


■著者:水城せとな
■発行:2008年
■発売:秋田書店
■虫:タランチュラ、蛾、クワガタ、蟻、玉虫

今最も口に虫を詰め込んでいる少女マンガ!
…と言ってもいいと思う
(注:食べてません)

いつも仕事で大変お世話になっている方が、
『蜘蛛が出てくるよー』と貸してくれた『黒薔薇アリス』。

おお、この画は馬鹿高いチョコレートがやたら食いたくなる『失恋ショコラティエ』の作者・水城せとな!

『失恋ショコラティエ』は、主人公がショコラティエに目覚めるきっかけとなった年上女・サエコさんの
天然を装ったビッチっぷりが大変爽快であった。

で、そんなベタベタな少女マンガ一直線の作者がなぜに蜘蛛…?

それは「吸血樹」(鬼ではなく樹と書くのもポイント)という設定であるメインキャラたちの特殊能力が、
使い魔的な虫によって施行されているからだ。

端正な美男の口からタランチュラがボトボトボトボト吐きだされ、眠れば口から蟻がぞーろぞろ。

相手を眠らせたい時は鱗粉たっぷりの巨大蛾が口から飛び出し、あらゆる言語を習得させるには玉虫を飲み込ませる。

いやー何かの折につけ、大量の虫が口から出入りするのは大変愉快ですね!

”口に虫がつめこまれている”というビジュアルから、
虫食いに目覚める人がこの漫画からも生まれますように!

そしてさらに面白いのは、物語の軸が「繁殖」であること。

特別な存在である美少女に、イケメンたちがひたすら繁殖を乞うというゲロ甘スーパー逆ハーレム物語なのだが、
繁殖は一度のみ、しかも双方命がけ(文字通りオスはその日のうちに死亡、30日後に種を巻いたらメスも確実に死ぬ)。

”美しい体で蘇ってしかも美男にチヤホヤされてキャー”

そんな美味しい状況に酔っている場合じゃないという展開のさじ加減が、
読み手の黒い感情を抑えて同情を誘うという、何とも上手い仕掛けだな。

少女マンガに拒絶反応を示す方も、虫視点で読むと結構楽しめるハズ。

もちろん少女マンガ大好物な方にも、問題なし。
美少女がとっかえひっかえ可愛い格好をしているというだけでも、結構楽しいものがある。

ゴスロリ服と少し悲しいお話が得意な三原ミツカズ系がお好きな人なら、ピタッとハマりそうです。

 

 

 
断じて蜘蛛はチョコ味じゃありません