■ 著書:野中健一
■ 発行:2008年
■ 発売:亜紀書房
<目次>
第1章・積極的な食文化としての昆虫食/第2章・ハチの採取技術とその方法/第3章・旬の味覚を担う家庭料理としての側面/第4章・生産活動の変化で食卓から消えた虫/第5章・絹糸産業における副産物の食利用/第6章・「遊び」の文化と昆虫との共存関係/第7章・世界一の加工技術と確立された流通システム/第8章・文化の多様性への「気づき」と「理解」
日本のユニークな食文化・昆虫食の魅力を再発見
そう遠くない昔、日本ではこんなに豊かな虫食文化があったということが学べる昆虫食本。
立教大学文学部教授である野中健一氏は、「身近な自然と人間とのかかわり」のひとつして、昆虫食を研究していて、本書ではクロスズメバチやオオスズメバチ、イナゴ、カイコガ、カミキリムシ、セミ、ゲンゴロウ、ザザムシなどが紹介されている。
どこでどのように食べられていたのかという文献や聞き取り調査からの分析だけではなく、野中氏自らが「蜂追い」にトライして、四苦八苦する第2章は、紀行エッセイを読んでいるかのように、楽しさや苦労がひしひしと伝わってきて非常に読みごたえがある。
さまざまな地方の虫食い人の実体験談も豊富に掲載されていて「ハリガネムシに寄生されているカマキリは、腹をさわると“ぎゅっぎゅっ”という感触があるので捨てる」など、「へえ~」となる虫トリビアも盛りだくさんだ。
管理人は以前、芸人・佐々木孫悟空のイベント「食虫大学」で販売されていた、野中先生お母様特製ハチノコの佃煮を食べたことがあるが、とても上品な甘みが素晴らしく、焼酎のつまみにぴったりでした。