虫食エッセイ

第8皿 アンチエイジングな蟲喰い

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年明けから早くも1か月近くたち、去年の虫フェスご報告さえ滞っているまま、大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

今更改めて言わずとも誰もが知っていることではありますが、今年は巳年。

そこで本年1発目の『TRASH-UP!! Vol.14 』に寄稿した記事は「蛇食い」です。

蛇をガスコンロで炙ってみた。いい香りがプーンと・・・。

え? 蛇は虫じゃないじゃん?! なんて声も聞こえてくるが、「蟲」は小動物全般を表す言葉ということでご容赦を。

TRASH-UP!!で連載させていただいている「あのマンガ(の蟲)メシが食べたい!」は、タイトルそのまんま、漫画に出てくる蟲メシを実食するというもの。

そして今回の蛇食いは、昭和の怪奇漫画作家・さがみゆきの『血に燃える死美人』に登場するアンチエイジング食だ。

美人が死んだら皆死美人なんですかね?

物語に登場するのは、若さと美しさに固執するひとりの美女。村一番の金持ちががんばって嫁にもらいホクホクだったのだが、美女にはひとつヒミツがあった。それは、自己流・アンチエイジング食だ。

結婚したての男は喜ぶ。「わたしはしあわせな男よな。うつくしい鈴子の手作りのお料理がたべられるなんて・・・」 美女曰く、小さなときから料理は自分の手でしていたという。そして美しくいられるのも、みんな食物のおかげだと。

顔の造作はある程度遺伝が関係するが、まあ美容と食事は切り離せないので実にまともな事を言っている。では、何がそんなに問題なのか?

それは・・・

コレです!

コレなんです!! ぎゃあ! 美味しそう!!

美女・鈴子は、昔から蛇が大好物だったという。美容にいい食材を吟味して、生まれ持った美しさをさらにブラッシュアップさせていたのだ。さて、この話の怪奇展開はここからが本題なのだが、ここではさがみゆき流・驚異の美容食を検証していきたい。

この日の“鈴子の美魔女食”のお品書きは、こうだ。

★すっぽんのスープ(汁もの)

★ 蟻とほうれん草のおひたし(副菜)

★ ムカデのからあげ(副菜)

★さるの脳髄の油いため(主菜)

★蛇の姿焼き(主菜)

思いっきり、豪華なんですけど…。

ということで、主菜である蛇を食べてみるのが、今回のお題です。

ウォーミングアップは蛇専門の動物園(?)ジャパンスネークセンターで、子持ちマムシの踊り食いから。

マムシは卵胎生なので、お腹にこのような状態でおさまっている。

コレを取り出して食べるというのだから、鈴子の蛇食いよりはるかにショッキングかもしれない。

さて肝心の味は、歯ごたえのある白身魚ようで実に美味!

しかも元気がみなぎってくる実感まである。

この時の詳細はオカルトスポットマガジン『怪処』四号「実食! マイナーミート」で、より詳しくとうもろこしの会・吉田会長(写真・右)が記事にしているのでご興味ある方は、ぜひ。蛇食いに対する吉田会長のとまどいが伝わってくる、大変良い記事です。

味見のお次は「狩り」へ。

鈴子は「山に入って採る」とのことだったので、蛇を捕るというのはどういうことなのかを体験しなくては! しかし素人の手に負えるものではなさそうなので、浅草の黒焼き屋・蛇善さんに案内してもらった。皆で蛇を捕りに行くという、予想外の楽しいレジャーにまで発展。

この時、自分の目的は当然「捕まえて、食べること」であったが参加者はそれぞれに感じるものがあるようで、うっかり蛇を家族にしてしまった女子も。

そんな様子も、よろしければご覧ください↓

ほそいあやさんの記事

玉置豊さんの記事

そんなこんなでできあがった死美女のアンチエイジングメニューがこちら。
地味だけど栄養価は高いハズ。

蛇の姿焼き、ほうれん草と蟻のおひたし、ムカデのから揚げ。
蛇、ちょっと焼き過ぎました。

ムカデのから揚げ。漢方用の乾燥ムカデをゴマ油で揚げたもの。鈴子の言うとおり、カリカリッとして食べやすいです。香りはややエグみがある。

蟻とほうれん草のおひたし。たっぷり鉄分が採れる、女性にぴったりのメニューだ。
蟻はゴマのようにプチッとはぜる食感が楽しい。

そして蛇は噛みしめるほどにうま味が増し、高級な魚の干物を食べているような味わいだった。
毎日でも食べたいといっていいほど、体にスルスル入っていく。
ゲテ食で片付けるのは、もったいない話ですよ、コレ。

(おまけ)

せっかくなので花園神社の見世物小屋の前でも実食。なんとこの日は見世物小屋の蛇食い女・小雪さんが体調不良とのことで肝心の“蛇食い芸”がなかった。ひとりで蛇を食べるのは、少々さびしい。「それ、どうしたんですか!?」と聞いてくる通りすがりの人にも「ひと口いかがですか」と勧めてみたが、反応は皆、鈴子の夫と変わらぬものでありました。ふうん・・・。

※このテキストはTRASH-UP!! VOl.14で発表したものです。続きは本誌でお楽しみください

蛇をさばいて食べるシーンは、ゲスト出演させていただいた『今夜野宿になりまして 上級編』でも、カメ五郎さんがたっぷり実演しています。

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この記事を書いた人
ムシモアゼルギリコ

フリーライター歴20年(※虫関連の記事以外、基本は別名義)。
2008年頃から昆虫料理研究会(内山昭一主催)に参加し、“虫食いライター”としての活動を始める。
TV、ラジオ、雑誌、トークライブ等で昆虫食の魅力を広めているほか、映画やバラエティ番組などに登場する“虫食いシーン”の、調理サポート等も行う。

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